1. MR 転職【MR BiZ】HOME>
  2. お役立ちコンテンツ>
  3. コラム『未来図:MR』>
  4. GPU(画像処理プロセッサ)がひらく創薬の道

GPU(画像処理プロセッサ)がひらく創薬の道

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
[ 2017年11月30日(木) ]

GPU(画像処理プロセッサ)がひらく創薬の道高騰する創薬コストに対し、またも、IT技術を活用した新たな試みが始まろうとしています。
アメリカのタフツ大学の試算によると、1つの新薬を開発するのにかかる費用は、失敗分も加味するとおよそ25億5800万ドル(約2890億円)にのぼると言われています。

こうした状況を鑑み、日本では京都大学と70社以上の製薬企業とIT企業が共同研究体を立ち上げ、創薬専門AIの開発に乗り出しているのは、以前の未来図でもお伝えした通り。

 うまくいけば薬の開発機関が1/2~1/3に、創薬にかかる費用も半減できると見込まれる

とされている通り、国を挙げてのプロジェクトには大きな期待が寄せられています。

そんな中、共同研究体とは別に、最新のITを活用した創薬に新たに名乗りを上げた企業がありました。それは、GPU(画像処理プロセッサ)に強みを持つアメリカの半導体メーカー・NVIDIA。同社は、ゲーム機向けやグラフィック用コンピューター向けのほか、近年ではAIや自動運転技術などの分野で存在感を放っていましたが、GE Healthcareと医療画像処理の高速化をめぐって提携が決まるなど、ライフサイエンス分野からじわじわと熱視線を集めています。

GPUとは、もともと映像をはじめとする高度な演算処理のために開発されたチップ。この処理能力を応用することで、創薬時のシミュレーション期間を大幅に短縮するのが同社の狙いです。

分子動力学シミュレーションでは、薬のターゲットとなるたんぱく質と、薬の候補物質となる化合物の結合強度(結合自由エネルギー)を計算で見積もる。この際、GPUをうまく活用することで、CPUに頼る従来の演算システムに比べて数倍から数十倍の高速化が可能という。(日経デジタルヘルス2017/11/27

同・日経デジタルヘルスの記事では、多数の製薬企業と取引を持ち、既に100種類以上のターゲットや3000種類以上のリガンドのシミュレーションに取り組んでいるシュレーディンガーの日本法人代表・小澤俊一氏による「創薬は50億円あれば何とかなるというのが当社の共通認識だ」という言葉も紹介されており、AIとGPUがもたらす未来に期待がかかります。

(文・栗山 鈴奈)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
このページのトップへ戻る