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イギリスのEU脱退が製薬業界に与え得る影響と残留の可能性

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[ 2016年06月23日(木) ]

イギリスのEU脱退が製薬業界に与え得る影響と残留の可能性明日24日早朝、いよいよイギリスのEU脱退をめぐる国民投票が始まります。万一EUから抜けた場合、世界経済にはかなりの影響が予想されますが、製薬業界で働くMR(医薬情報担当者)としては、よりいっそう注目に値するものがあります。

製薬業界への影響といえば、英国企業のアストラゼネカとグラクソ・スミスクラインのことが脳裏を過ぎりますが、それだけではありません。EUを脱退すれば、ヨーロッパ圏の薬事審査・ライセンシング業務がしばらくの間、ストップしてしまう可能性があるからです。

現在、EUに加盟する全ての国の医薬品承認を管轄するEMA(欧州医薬品庁)は、ロンドンに存在しています。イギリスのEU離脱が決まれば他国への移転が濃厚に。ところが、EMAが国境を越えて移転するのは、単なる引越のように一筋縄にはいきません。土地や雇用の問題をはじめ、法で守られた個人データの移動など…問題が山積しています。移転後も業務フローに混乱が生じる可能性は拭えず、通常営業に戻れる日はいつになるのか…見当も付きません。

また、EMAが移動することで、それまでロンドンに欧州拠点を構えていた製薬メーカーも展開戦略を見直さざるを得なくなるでしょう。このように、製薬業界全体への影響は留まるところを知らず、先日にはEFPIA(欧州製薬業団体連合会)が「英国がEUに残留することが、英国と欧州の製薬産業の最善の利益であると信じている」という異例の声明を出しました。

事前に行われた世論調査では、脱退・残留の支持率はほぼ半々とまで言われています。様々なリスクをはらむEU脱退に、なぜイギリス国民は傾いているのでしょうか。最大の理由はEU圏内からの移民だと言われています。

EUには国境を越えた自由移動の原則と、欧州から来た移民を自国民と平等に扱わなければならない、という2つの決まりがあります。昨今、EUが中欧に拡大したことで、ポーランドやルーマニアから福祉が手厚いイギリスへの移民が急増。その数は、年間20万人以上と言われています。

結果、イギリス国内では移民による犯罪が急増し、イギリス人低所得者層は移民に職を奪われることになりました。イギリスの財政は逼迫しているにもかかわらず、限られた資金が国民ではなく移民のために使われてしまう…そんな状況に、イギリス国内で反EU感情が高まっていったのです。

国民投票の結果が出るのは、日本時間で24日の15時頃。果たしてイギリスが選ぶ道はいかに?

(文・栗山 鈴奈)

 

イギリスのEU脱退が製薬業界に与える影響は、下記のページに詳しくまとめています。

『「Brexit」の影、製薬業界にも…EFPIAが残留訴え 英国のEU離脱で業界に何が起こる?』-Answers(アンサーズ)

※Answers(アンサーズ)は、製薬業界全般の情報提供と転職支援に特化した、MR BiZの姉妹サイトです。

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