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アステラス、タケダ、第一三共、エーザイ…大手製薬4社の連結業績に見る今後

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[ 2012年05月17日(木) ]

5月15日、国内大手製薬4社の2012年3月期連結業績が出ましたね。それによると、タケダ、第一三共、エーザイが減益。アステラス製薬のみ、前期比16%増の純利益782億円でした。アステラスの利益を下支えしたのは、過活動ぼうこう治療剤「ベシケア」と気管支ぜんそく治療剤「シムビコート」。

アステラス製薬とともに新薬創出加算を多く取得したばかりの第一三共は、合成抗菌剤「レボフロキサシン」の輸出が減少したほか、新製品の投入に伴う販売費の増加より、減収減益となりました。

エーザイは、アルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」の特許切れによる影響が著しく、これまで薬価改定があったとしても「1000億円以上を維持する」と自信をにじませてきたところが、2013年3月期の国内売上予想額を、900億円に改めたことが発表されました。

「アリセプト」といえば、先日新薬創出加算でも加算対象外となったことが報じられました。さらに、エーザイでは、2013年にもグローバルで1500億円弱の売上を誇った「パリエット」が特許切れとなることなどもあり、同社の動向にはますます注目が集まっています。

少しお話しが変わりますが、企業の成長を見定める上で着目したいのは、世界最大市場であるアメリカでの薬の売れ行きです。ジェネリック普及が途上にある国内に比べると、海外市場、特にアメリカでは特許切れの打撃がより顕著に現れます。今回、増収増益となり回復軌道に乗ったと報じられたアステラス製薬も、2011年度には、免疫抑制剤「プログラフ」がアメリカで後発薬に押され、大きな減収を経験しています。

もともとエーザイは海外の売上比率が高い企業。特許切れとなる主力品に代わり、乳がん治療薬「ハラヴェン」や新薬の成長を急ぎたいのとともに、海外での戦略が復活の鍵を握りそうです。

以前の記事でもお話ししたとおり、同社は昨年から生産拠点をインドにオープンし、製造コストを削減。5月より、米Horizon社と共同研究契約を締結し研究開発に注力。さらに米国子会社のエーザイ・インクが肥満症治療剤lorcaserinのライセンス地域を拡大する契約を、アリーナ・ファーマシューティカルズと結び、さらに代表執行役を2人から5人に増やすことで、ビジネスのグローバル化に備えるという発表もされました。

アリセプトに変わる主力商品はまだないものの、現在、癌領域を中心にパイプラインは20以上。2008年に買収したMGIの強みが、ここからじわじわと出てきそうです。加えてエーザイにとって朗報なのは、米国で販売を担当する予定の肥満治療薬「ロルカセリン」が医薬品許可を得られそうだということです。

かつてはアステラスと並び、人気だったエーザイ。ここからの巻き返しに注目したいところです。

(文・栗山 鈴奈)

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