1. MR 転職【MR BiZ】HOME>
  2. お役立ちコンテンツ>
  3. コラム『未来図:MR』>
  4. がん幹細胞を攻撃する、大日本住友製薬発の画期的新薬に寄せて

がん幹細胞を攻撃する、大日本住友製薬発の画期的新薬に寄せて

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
[ 2013年02月07日(木) ]

先日、大日本住友製薬が開発中の癌治療薬が申請間近だという記事がありました。
同社が開発を進める治療薬は、業界で初めて、がんを作り出す細胞と考えられている「がん幹細胞」を直接攻撃することで、癌の再発を防ぐ、というもの。将来性を期待されるオンコロジー領域に、また1つ明るいニュースが点りましたね。

「がん幹細胞」は、放射線治療や抗がん剤が効きにくく、既存の治療ではこの細胞が生き残ってしまうために再発のリスクはぬぐえないものでした。今回、大日本住友製薬が開発中の新薬では、がん幹細胞をターゲットに攻撃し、死滅させる効果があるそうです。先んじて北米で行った臨床試験では、効果に加え、重篤な副作用がないことが確認されたそうで、期待が高まります。

しばしば、世界一の癌大国と指摘される日本。他国と違って癌による死亡が心臓病や脳血管疾患などを抜いているためそう呼ばれているそうです。その傍ら、日本は長寿国であることにも表れている通り、健康管理・衛生管理が行き届いていて、他の疾病で死亡する確率が低いからだとも言われています。

私は学生時代の友人を5年ほど前に癌で亡くしているのですが、その彼が苦しめられたのも、度重なる転移と再発でした。まだ若いために進行が早く、抗がん剤や放射線治療、切除手術などを繰り返すも、必ずどこかにがん幹細胞が残っていて、最終的には彼の体力が持たなくなってしまったのです。

がんサポート情報センターの記事に掲載されていた京都大学医学部の福島雅典教授の言葉によると、「日本では、欧米でスタンダードとして使用されている抗がん剤(101種類)の約3割、32種類が未承認のまま」ということ。

日本のがん治療は進んでいるようでいて、実はまだまだ発展途上。上記のような承認問題に加え、他国に比べて抗がん剤の専門医が少ないことから、アメリカから30年近く遅れているとする声もあります。そうした、“がん治療後進国”とさえ揶揄されてしまう現在の日本から、このような画期的な新薬が誕生しようとしているのは、とても大きな意味があるように思えます。

NHK NEWSwebによると、大日本住友製薬側のコメントとして「順調にいけば、アメリカとカナダでは平成27年に、日本では翌28年に販売が開始できるようにしたい」と話しているそうですが、国内の企業が生み出したこの薬は、どうか無事に承認を通過して欲しいものですね。そして少しずつでも、日本のがん治療分野が発展していくことを願ってやみません。私の友人もこの薬があったら助かったかもしれない、とは今さら言いたくないですが、せめてこれからの時代は、1人でも多くの命が救われる体制が整ってほしいと思ったニュースでした。

(文・栗山 鈴奈)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
このページのトップへ戻る