MRとはMedical Representatives(メディカル・レプレゼンテイティブ)の略で、日本語に訳すと「医薬情報担当者」。
多くは製薬会社に所属し、自社製品(医薬品)がどのような病気にどの程度の効果を持つのか、副作用はないか、どれくらいの量を投与すべきか、他の薬との併用は可能か…といった情報を医師や薬剤師に提供し、製品の普及・売上アップに貢献する役割を果たします。
MRは、医師をはじめとする医療従事者に対し医薬品の情報提供を行う、製薬企業における営業職と呼べる職種です。
「業界が安定している」「年収が高い」といった理由から、他業界からMRへの転職を目指す人も多くいますが、実際に転職は可能なのでしょうか。
ここでは未経験でもMRに転職できる人の条件や、MRに転職した場合のメリットをお伝えします。
1.未経験でMRに転職は可能か
2.MR職の5つの特徴
- ※MRとは
- MRとはMedical Representative(メディカル・リプレゼンタティブ)の略で、日本語に訳すと「医薬情報担当者」。
多くは製薬会社に所属し、自社が販売する製品(医薬品)の使い方やその効果、副作用などの情報を医師や薬剤師に提供し、製品の普及に貢献する役割を果たします。新卒の初任給が500万円程度の企業も少なくなく、高収入かつ安定しているというイメージの強い職種です。
未経験からMRへの転職は可能
今まで製薬業界以外で働いてきた人がMRに転職することは、十分に可能です。実際に、次のような経歴を持った人たちがMRへの転職を成功させています。
- 小売店の店長(28歳・男性)
- 生命保険の営業職(25歳・女性)
- 不動産管理会社の営業職(29歳・男性)
- イベント会社の営業職(28歳・女性)
- 証券会社の国内営業職(33歳・男性)
「情報提供する相手が医師や薬剤師」という点から、医学部・薬学部出身でないと務まらないのでは…と不安に思うかもしれませんが、そんなことはありません。
なぜならMRとして転職した場合、ほとんどすべての企業が「MR認定資格」の取得を義務としています。資格試験に向けた学習を通し、MRにとって必要な医薬品の知識を身につけることができるため、経験や知識がないことを不安に思う必要はないのです。
もちろん理系出身者であれば歓迎されますが、MRは元々文系出身者がかなり多くの割合を占める職種。「2016年版MR白書」(MR読売センター)によると、MRの半数以上は文系出身者です。
クリアすべき必須条件は2つだけ
未経験でMRを目指すにあたり、必須条件といわれるのは次の2点だけです。
- 営業・販売の経験がある
- 車の運転免許を持っている
中途入社の未経験MRに期待されるのは、即戦力となる営業スキル。求人によっては販売経験でも良いとするところもあります。
なかでも最近の傾向として挙げられるのが、20代後半・営業経験5年程度の人の選考通過率が比較的高いという点です。これは「一定以上の営業スキル」と「新しい営業スタイルに馴染めるだけの柔軟性」を共に備えている人材が多いためと考えられます。
また、運転免許が必須なのはMRの移動手段が車だからです。これは、勤務地が都市部でも地方でも変わりません。
上記2つの条件を満たしていれば、MRにチャレンジすることができます。
MRに向いているのはこんな人
MRとして活躍している人には、以下の共通点が見られます。
MRが自分に向いているかを考える際の参考にしてみてください。
- 自己管理能力が高い
- ニーズをつかみ、的確な情報を提供する力がある
- 学習意欲が高い
自己管理能力が高い
MRは毎日複数の病院やクリニックを訪問するため、外回りの時間が1日の大半を占めます。その間の行動は上司にチェックされているわけではありません。
自由度が高い反面、自らを強く律する力が求められる環境下で仕事をし、目標を達成しなくてはいけないのです。
加えて、MRは医師を訪問する合間を縫って、目標達成のための戦略を立てたり、医師への提案内容をまとめたりしなければなりません。そのためには自主的に、業務の効率化・課題発見・戦略立案に取り組む姿勢も必要とされます。
ニーズをつかみ的確な情報を提供する力がある
MRが医師と話せる時間は短く、開業医で15~30分程度、大病院の著名な医師であれば2~3分とも言われます。その短時間で、医薬品の有効性や適正な使用法といった情報を正確に伝えなければなりません。
専門的な情報を簡潔にわかりやすく伝える力と、医師が必要としているだろうデータや症例など、参考となる情報をピンポイントで提案する力が求められます。
また、きめ細かな気遣いができることも大切な要素。病院内の他のスタッフのニーズにも的確に対応することが求められます(例えば、薬剤師や看護師向けの学習会を開催することもMRの仕事です)。
もちろん、他の営業職と同じく「身だしなみや挨拶といったマナーをわきまえている」「愛嬌がある」「話題が豊富」といった理由で人として好かれることも、MRとして押さえるべきポイントです。
学習意欲が高い
常に知識を得ようとする学習意欲は、MRにとって非常に大事な資質。医師から頼られるMRになるためにも、医師と対等に会話できるだけの最新の医療知識を身につけることが不可欠です。
ほとんどの企業で薬や治療に関する研修・学習会を実施していますが、現役MRの多くは、医学書や論文を読んだり、学会や講演会に参加したりして自主的に学習しています。
MRの勤務先は新薬メーカー・ジェネリックメーカー・CSO
MRの勤務先は大きく3つに分けられます。新薬メーカー、後発医薬品(ジェネリック医薬品)を製造・販売しているジェネリックメーカー、これらメーカーから販売業務を受託しているCSO(医薬品販売業務受託機関)です。
これら3つの勤務先を、未経験でも採用の可能性が高い順に並べると次のようになります。
CSO>ジェネリックメーカー>新薬メーカー
それぞれの職場について、簡単に説明します。
CSO
CSOに所属するMRはコントラクトMRと呼ばれ、CSOと正社員契約を結んでいます。コントラクトMRはCSOから各メーカーへと派遣され、担当プロジェクトが終わるまで派遣されたメーカーで勤務します。1つのプロジェクトの期間は大体2~3年です。
担当プロジェクトごとに職場と担当製品が変わるため、さまざまな疾患領域・製品に対する知識・経験を身につけることができます。また、CSOには教育研修制度が整っている企業が多く、未経験の人がMRとしての第一歩を踏み出すにはうってつけ。年収は大体500万円からスタートします。
ジェネリックメーカー
後発医薬品(ジェネリック医薬品)とは「先発医薬品と同じ有効成分で効能・効果、用法・用量が原則同一であり、先発医薬品に比べて低価格な医薬品」のこと。これら医薬品の情報提供を行うのがジェネリックメーカーのMRです。既知の効能・効果を持つ薬を取り扱うため、新薬のメーカーほど深い情報は求められません。中途採用のハードルも新薬メーカーより低く、未経験の方にとってはチャレンジしやすいと言えます。
ジェネリック医薬品メーカーの給料は新薬メーカーほど高くはありません。20代なかばでおよそ450万円ほど。
もちろん企業によってはこれ以上出るところもあります。新薬メーカーほど高くないとはいえ、他業界から見ると十分高い水準と言えるでしょう。
新薬メーカー
新薬メーカーとは、新薬の開発・製造・販売を行う医薬品メーカー。薬・疾患領域に対する知識を深く身につけ、担当領域のプロフェッショナルとなることができます。
年収も高く、30代で1000万円超えも珍しくありません。
しかし、未経験から新薬メーカーのMRを目指すのはかなり難しいのが現状です。そもそも未経験OKの求人が少なく、かつ、募集があったとしても多くの希望者が集まるため、倍率も非常に高いのです。
まずはコントラクトMRになり、MRとしての知識や経験を身につけてから新薬メーカーに挑戦する…というキャリアプランを立てる未経験MRの方も少なくありません。
MRの特徴は以下の通りです。
- 高収入が狙える
- 景気に左右されにくい
- 高い専門知識が身につく
- 社会貢献度の高い仕事ができる
- 価格交渉がない
高収入が狙える
MRの年収は、他業界と比べても高い部類に入ります。未経験からの転職の場合、初年度の年収は450~550万円程度。これにプラスして営業日当(外勤手当)が支給されるケースも多いようです。営業日当は1日あたり2,000~3,000円が相場です。
また、若手~中堅層で600~800万円、管理職になると1000万円を超える企業も。他業界に比べ給与水準は全体的に高いと言えるでしょう。
さらに、大手製薬メーカーであれば、家賃の8割を会社が負担するなど住宅補助が充実している場合もあります。
景気に左右されにくい
製薬業界は景気に左右されにくい業界として知られています。
病気の治療は生きていくうえで欠かすことはできず、景気の良し悪しとは関係ありません。むしろ、高齢化の進展に伴い、医療や医薬品に対する需要は今後も高まっていく見通しです。
治療法が確立していない疾患も多く、新しい薬の開発が求められています。
高い専門知識が身につく
MRは、医師のニーズをくみ取り、必要な情報をまとめて提供するのが仕事です。
例えば、医師が薬の使い方に悩んでいる場合には、患者の症状や疾患の原因を踏まえた適切な情報提供を行う必要があります。
それには、医薬品や疾患に関する深い専門知識が不可欠です。
1人のMRが担当する領域や製品数は企業によって異なりますが、高度な専門知識が求められるのはどの企業でも変わりません。
社会貢献度の高い仕事ができる
MRの仕事は、医師を通して患者の命に関わる、非常に重要な仕事です。
「自分が提案した薬で患者さんが良くなったと聞いて、とても嬉しかった」「より良い薬を提案することで、社会に貢献できていると感じる」など、社会貢献度の高さが仕事の魅力と語る現役MRは多くいます。
「やりがいある仕事をしたい」「人に感謝される仕事をしたい」。そんなあなたにはMRという仕事がピッタリかもしれません。
価格交渉がない
MRは一種の営業職ではありますが、医薬品の価格交渉をすることはありません。価格交渉・販売、納品業務は、MSと呼ばれる医薬品卸売業者の営業担当者が行います。
MRは、純粋に情報提供・情報収集するのが仕事ですから、自身の知識やスキルをフルに活かした仕事が可能です。「価格だけで判断される製品を扱う営業に、やりがいを感じられない」「顧客への提案力をもっと高めたい」といった方には魅力的な仕事と言えるでしょう。
最後に、MR未経験の方からよく寄せられる質問について回答します。
- 「接待が大変」って本当?
- ずっと学習し続ける必要があって大変なのでは?
- 絶対に転勤しなくてはいけない?
- 「接待が大変」って本当?
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- 接待はほぼありません。
- 「MRは接待が多い」というのはむかしの話。2012年4月に業界の自主ルールである「医療用医薬品製造販売業公正競争規約」が改定され、MRによる医師への接待が原則禁止されました。かつてのように接待が頻繁に行われることはありません。
一方で、接待がなくなったということは、医師との関係を構築する機会が減ったということでもあります。そのためMRには、医師と話す時間を確保し、ニーズに合った情報提供を行うための工夫がよりいっそう求められるようになっているのです。
- ずっと学習し続ける必要があって大変なのでは?
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- 学習意欲が高い人でないと続けづらい仕事です。
- 「MRに向いているのはこんな人」でも書いたように、学習意欲が高いかどうかはMRとして活躍するのに重要な要素。
薬は使用するうちに、新たな副作用が発見されたり競合他社から対抗品が発売されたりするものです。担当製品はもちろんのこと、同じ疾患に使われる他社製品についても最新の情報を把握しておかなくてはいけません。医療の世界は日々進歩しており、知識は常にアップデートが求められます。
そのため、現役MRは医学書や論文のチェックや、学習会に自主的に参加することなどを日常的に行っています。
最先端の医学に触れられるという醍醐味がある一方で、能動的かつ恒常的な学習が苦手な人にはハードな仕事と言えるかもしれません。
- 絶対に転勤しなくてはいけない?
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- 原則全国転勤ありの職種ですが、例外もあります。
MRは原則、転勤がある職種。多くのメーカーでは数年に一度のスパンで転勤があり、未経験からMRになった場合、勤務地を指定するのは難しいのが現状です。
ただ、MR経験を積んだ後であれば、勤務地の希望が叶う場合も。企業によっては転勤のスパンが10年単位のところや、地域限定職のような形でMRを募集するところも存在します。
また、CSOに所属するコントラクトMRであれば、勤務地を限定して働くことができます。「MR=絶対に全国転勤」と決めつけず、広い選択肢の中から求人を探してみてはいかがでしょうか。
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