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1回の投与で932万円…脊髄性筋萎縮症治療薬「スピンラザ」高薬価のワケは?

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[ 2017年08月31日(木) ]

DNA Molecule, 3D Rendering8月30日に発売されたバイオジェン・ジャパンの脊髄性筋萎縮症治療薬「スピンラザ」(ヌシネルセンナトリウム)。脊髄性筋萎縮症という、これまで治療法がほとんどなかった難病に対する画期的新薬であることもさることながら、1回の投与で932万円という高い薬価でも話題を呼んでいます。

「スピンラザ」は、アンチセンス核酸医薬と呼ばれる、疾患に関係するタンパク質をつくるRNAを標的とする国内初の医薬品。脊髄性筋萎縮症は、遺伝子の変異により運動ニューロンの正常な機能を維持するのに必要なタンパク質が作られないことが原因です。「スピンラザ」は変異した遺伝子とよく似た構造を持つ別の遺伝子のmRNA前駆体に結合し、タンパク質が作られる過程に調整を加えることで、正常なタンパク質の産生を増やす働きをします。今年7月、申請からわずか7カ月という異例の速さで承認されました。

「スピンラザ」による治療には、薬剤費だけで年間2796万円(投与回数の多い1年目は5592万円)の費用がかかります。これほど高薬価となったのは、

・新規作用機序の薬剤である

・臨床試験で運動機能の有意な改善が認められた

・先天性の遺伝子変異による致死的な疾患である脊髄性筋萎縮症に対する初の医薬品である

・希少疾病用医薬品である

ことが評価され、薬価に高い加算が付いたため。それでも、米国(1瓶1620万円)やドイツ(同1297万円)に比べると割安となりました。

難病に対するアンチセンス核酸医薬は今後も続々と登場する見通しです。日本企業では、第一三共と日本新薬がそれぞれ、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対するアンチセンス核酸医薬を開発中。「スピンラザ」が申請から短期間で承認され、高い薬価を得たことで、これらの開発にも弾みがつきそう。MR(医薬情報担当者)としても、次世代の医薬品として期待される核酸医薬の動向には注目しておいたほうがよさそうです。

 

(文・前田雄樹)

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