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高脂血症治療薬市場は再び活気付くのか…初の抗体医薬が今初登場

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[ 2016年02月18日(木) ]

高脂血症治療薬市場は再び活気付くのか…初の抗体医薬が今初登場今春、高脂血症治療薬市場に注目の新薬が登場します。アステラス・アムジェン・バイオファーマの抗PCSK9抗体「レパーサ」(一般名・エボロクマブ)です。1月に承認を取得し、4月にも発売される見通しとなっています。

レパーサは、ヒトプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9(略してPCSK9)というタンパク質の働きを阻害し、LDLコレステロール(LDL-C)を下げる薬です。米アムジェンが創製した新規作用機序を持つ薬剤で、高脂血症治療薬としては初の抗体医薬。米国と欧州では昨年8月、一足先に承認されています。

血中の余分なLDL-Cはふつう、肝細胞上のLDL受容体から肝臓に取り込まれて処理されます。ところが、PCSK9がLDL受容体に結合すると、その分解が促進され、LDL受容体の数自体が減少します。そうなると、血中から余分なLDL-Cを取り込むことができなくなるため、LDL-Cの値が高くなってしまいます。

レパーサはPCSK9に結合してその働きを阻害します。その結果、LDL受容体の数が増加。血中から多くのLDL-Cを取り込めるようになり、LDL-Cの値が下がるのです。

抗PCSK9抗体はほかの製薬会社も開発を進めています。サノフィは昨年8月にアリロクマブを申請しており、こちらも年内に発売される見通し。ファイザーはbococizumabの臨床第2/3相試験を行っています。

既存の治療薬でLDL-Cが十分に下がらない患者は多く、家族性高コレステロール血症では特にLDL-Cの管理が難しいと言われます。抗PCSK9抗体はこうした患者に対する新たな治療選択肢となりますが、「注射」「高薬価」といったネックも。高脂血症治療のゴールである心血管イベントの抑制効果もまだ証明されておらず、普及に向けては課題も少なくありません。

高脂血症治療薬と言えば、かつては「リピトール」や「リバロ」といった大型製品がひしめく激戦市場でした。しかし最近は、これらに相次いでジェネリック医薬品が参入。市場は停滞気味です。レパーサとそれに続く競合品の登場により、市場は再び活気付くのか。注目が集まります。

(文・前田 雄樹)

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