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高齢者の抗がん剤にメス。どうなる? がん治療の行方

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[ 2017年05月11日(木) ]

高齢者の抗がん剤にメス。どうなる? がん治療の行方ゴールデンウイークはいかがお過ごしでしたか? 連休に入る少し前、ニュースで高齢者に対する抗がん剤使用について報じられていたのをご覧になった方も多いのではないでしょうか。

厚生労働省は、高齢のがん患者に対する抗がん剤治療の指針作りに乗り出す方針を固めた。高齢患者について抗がん剤の延命効果を調べたデータは少ないため、全国の患者の情報を集約する「がん登録」の制度などを活用して大規模調査を進め、指針に反映させる。(東京新聞2017年4月28日)

抗がん剤は、副作用が強く、治療と同時に患者の体力を著しく奪うもの。このため延命効果という観点から見た場合、高齢者への使用は果たして効果的と言えるのか、以前から議論されてきました。高齢がん患者は年々増加傾向にあり、国立がん研究センターの調査によると、がん患者に占める65歳以上の割合は1980年に50%程度だったものが、2011年の時点で70%に迫るほどに高齢化が進んでいます。

そこで国立がん研究センターは、2007~2008年の同センター中央病院(東京都中央区)を受診したがん患者7000名のデータを紐解き、75歳以上のがん患者は抗がん剤を投与しても生存期間がそれほど変わらない点に着目しました。但し、サンプル数が非常に少ないため、厚生労働省は全国の病院と連携し、さらなる大規模調査を敢行するはこびとなりました。

こうした高齢者を含む世代別のがん治療法の検討は、この夏に策定予定の第三期がん対策推進基本計画に盛り込まれることになっており、調査の進展次第では、今後のがん治療のあり方が大きく変わる可能性があります。高額と言われるがん治療費ですが、その額は年間4兆円近く。製薬業界に及ぼす影響は、決して小さいものではありません。

ただ、そうしたことを差し引いても、高齢がん患者の治療法のあり方を、医療費削減の観点からのみ見つめるのはナンセンスです。本人はもとより医師や家族が話し合ってそれぞれの患者に相応しい治療法を定めているように、最も考慮すべきは患者ひとりひとりの体力状態と価値観です。年代という紋切り型の指標だけで強引な結論が導き出されないことを祈りつつ、この調査が患者の方々と製薬業界の未来にとって、より良い結果をもたらすものになることを願ってやみません。

(文・栗山 鈴奈)

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